068814 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

阿修羅の晩餐

阿修羅の晩餐

ある少女の物語

「真紀~!おきなさい!」

朝からうるさいほど元気な母親の声が聞こえる
しぶしぶ私は、制服に着替えて、下の階へいった。
「早く食べなさいよ!」
「ふぁ~い」

私は食パンにかじりつきながら、一人の男の事を考える。

そんな事考えている間に、遅刻寸前だった。
「真紀!真紀!時計!と・け・い!」

わざわざ、二回ずつ言わなくてもわかってる。
・・・牛乳ぐらいだしてほしい・・・

そりゃあ、母親が大変な事は見てればわかる

「あれ?姉ちゃんまだ学校いってなかったの?」
まだ眠気ののこるような弟が、階段から降りてきた
「あんたに言われたくないけどね」
私はブスっとしながら学校にむかった

通り道でいつも見る猫もゴミをすてるおばさんも、毎日の決まりなど、守っている事は守っているのだろう。
・・・この男をのぞいて・・・


「・・・おはよっ・・・杉田?」

「・・・ああ・・・おはよ。源でいいよ」

「・・・・・」

男は、眠たげにあくびをした

「あんた、また制服きてないの?」

「うん~・・・焼けちゃってね」

「・・・焼けたって・・・」

「先生に言っといたし、そのうち制服買わないと」

昨日、日曜日だから買えばよかったなど、この男に言っても無駄だと、思った。

いつからだろう・・・こいつと話をするようになったのは
席が隣になってから?
・・・話をしたのはほんの2・3日前。
まったく、眼中になかった


そうか、こいつが制服きなくなってからだ・・・


「真紀~!元気?元気?」

「梨花・・・なんで朝からそんなに元気なの・・・?」

「朝なんて関係ないも~ん!!!あっ!この消しゴム使っていい?」

「・・・ふぅ」

朝っぱらから元気なこいつは幼馴染の「大鍋 梨花(おおなべ りか)」本当にやかましい奴だ

「あっ!ごめん消しゴムもげた~!」

私の目の前でくすくす笑う。
人の消しゴムもいで、楽しいのか?


キーンコーンカーンコーン・・・

・・・母親は疲れていたのか、お弁当は日の丸。おかず=梅干
・・・隣で梨花が大爆笑する
「うひゃひゃひゃひゃ!!!!!な・・・さすがにっぽ・・・げひゃ!」
・・・げひゃってお前・・・

お昼を食べ終わり、廊下でぶらぶらしていると
制服を着ていないのであからさまにめだつこの男
・・・何もいわず、私はただ近くにいる

「ねぇねぇ」

梨花が私の髪をひっぱった

「いたたたた・・・!」

「源君の事、好きなの?」

んな事聞く前に謝れよ・・・額に青筋が入るのを隠した

「ねぇねぇ!そーなの?」

「・・・梨花・・・言いたい事はそれだけか?」

「答えなさい!・・・なんちゃって~」

「・・・ふぅ・・・好きって言うか・・・傍にいたら落ち着くだけ」

「好きと違うの?」

「う~ん・・・香りが好きって感じ・・・」

「好きなら好きって言いなさい!」

「だから違うって・・・」

そうだ、あんな奴好きじゃない
そう・・・

憂鬱なまま、家に戻った

「おかえりねーチャン」

「・・・徹?・・・まだ部活行ってる時間じゃない!何してんの!?」

「休みなんだよ」

・・・う~・・・なんでこんなにイライラするんだ・・・

梨花に言われてからだ・・・

梨花に・・・

ああ!もう!何回あいつに消しゴムもがれたんだよ!

母の証言によれば朝私は、眉間にしわをよせて眠っていたそうだ

------------------------------------------------------------
朝、いつもよりかなり早く目が覚めた。
・・・何だかこんな日は気持ちがいい。
昨日の事が、うそのようだ。

「・・・外でも行ってみるかな・・・」
無意識に、外に飛び出していた。

「綺麗だな・・・」

花がまるで、ワタシを待っていたかのように、
風になびき、おいで おいで と言っているようだ

「・・・ちょっとぐらいいいよね?」
私は呟いた。

___________________________________
 
「へぇ・・・朝早くに来るだけでこんなに景色が違うんだ・・・」
ポツリと言葉が飛び出す
大きな石に腰をかけてしばらくぼーっとしていると・・・
「ガサ」
私は音のなった方を向いて、あわてて腰をかけていた石に隠れた
(同じ学校の奴だったら最悪だ・・・!!)


© Rakuten Group, Inc.
X